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栗山未来のSquat & Touch
大胆かつ繊細な滑りのベース 3

Event3 素早い運動の ミドルターン

ショートターンから内傾角が深くなり、左右への移動が出てきます。リズムもゆったりとしたものになり、ポジションも低くなります。重心の位置はやや後ろ気味になりますが、上体の構えや、つま先を押さえる意識は変わりません。ブーツの中でつま先を押さえながら、素早い、コンパクトなエッジングを心がけています。
すべてのターンがカービングになるように、急斜面でもぶれないように意識しています。切りかえでも重さを抜かず、重心をフォールライン方向に移動させながら、ターン前半でできるだけスピードに乗ることがポイントです。このとき、スキーを踏みすぎると減速につながるので、できるだけ踏まないようにバランスをとっています。

ミドルターンの スクワットポジション

ターン前半、上半身と下半身をぐーっと伸ばしながら雪面を捉えます。このとき、つま先を意識しながら脚を斜め前に伸ばすことで、身体全体を最大限に伸ばすことができます。その状態から徐々にポジションを下げ、スクワットしていきます。スクワットポジションのイメージは変わりません。重いものを持って、スクワットするように、ターン後半の負荷に対応しながらスキーを走らせていきます。ロングターンでは、筋持久力を使ったゆっくりとしたスクワットだとすると、ミドルではもっと早いタイミングのスクワットを行なっています。

重さを抜かない ロングターン


滑りのベースはスクワット&タッチです。つま先の位置は身体の真下ではなく、身体の前にセットして滑っています。ブーツの中でつま先が浮いてしまわないように、しっかり押さえることがポイントです。ロングターンも、スキーの動きを止めないように意識しています。ブーツの中でスキーを真上から踏むというよりも、重心よりも少し前にスキーを出すようなイメージです。そうすることで、多少荒れたバーンでも、スキーがスムーズに動き、あまり叩かれることなく滑ることができます。
また、ターン後半から切りかえにかけて、雪面から受ける遠心力など、すべての重さを解放するわけではありません。切りかえでも重さは残っていて、その重さは次のターンへとつながっていきます。その重さをつなげる感覚が、ターン後半のスキーの走りを引き出すのです。

ロングターンの スクワットポジション

ターン後半では、さまざまな外力に対応するために、低めのスクワットポジションで滑っています。脚部や体幹を緊張させて、重さを感じながら滑ることがポイントです。スクワットポジションと同時に、重さをコントロールする雪面タッチも意識しています。適度ないなしの感覚で、よりスムーズなターン弧を描いていきます。

Trainingハンドワーク

雪面からの圧を引き出す

ロングターンで、大きめのハンドワークを意識して滑ってみましょう。最初に構えた手の位置を、ターンの前半と後半で変えていきます。ターン前半で外側の肩が下がっていると、ブレーキング要素が強くなりすぎるので注意が必要です。1、2級のレベルでスピードをしっかりコントロールするためには、ターン外側の肩を下げて外脚に乗ることが重要ですが、よりスピードを追求したい技術選レベルでは逆の動きが求められます。ターン前半、体軸を傾けながら外肩を上げていき、スピードをしっかり推進力に変えていきましょう。後半にかけては、急斜面でそのままターン内側に傾いていると圧が求められないので、徐々に肩を下げていくことで外スキーへの圧を強め、その圧を次のターンへとつなげていくようにします。スピードに乗った、積極的な滑りが目標です。

Epilogue

スクワットは、私の滑りのベースとなるポジションです。以前はそのポジションで、衝撃や遠心力に、全力で対応していましたが、重さをかければかけるほどスピードが落ちたり、はじかれたりしていました。そこで、雪面タッチです。常にガンガンいくのではなく、衝撃を感じながら、少し力を抜く感覚に気がついたのです。スクワット&タッチ、この2つをベースに、まだまだ技術を磨いていきたいと思っています。(栗山未来)

写真:黒崎雅久 / 撮影協力:志賀高原 熊の湯スキー場、熊の湯温泉 熊の湯ホテル / 制作協力:揚力株式会社