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2018 SIAデモンストレーター合宿同行レポート
密着!プロスキー教師たちのテイクオフ行事

日本唯一のプロスキー教師団体である公益社団法人日本プロスキー教師協会。「すべてのスキーヤーに安全で楽しいスノースポーツを」という信念のもと、常に研鑽を重ねているSIAのデモンストレーターが集結する重要行事、「SIAデモンストレーター合宿」の模様をお伝えする。

2018年11月27日〜30日にかけて、公益社団法人日本プロスキー教師協会(以下SIA)デモンストレーター合宿が、北海道の札幌国際スキー場にて行なわれた(当初は11月25日〜30日に韓国のフェニックスパークで行なわれる予定だったが、雪不足で北海道に変更)。この行事は、SIAデモンストレーターの技術向上はもとより、指導法や理論に至るまで共通のコンセンサスを得て、その内容を会員である全国のプロスキー教師に伝達するための土台作りといった意味合いを持っている。メンバーは、今年4月に開催されたSIAデモンストレーター選考会で選出された23名のうち、アルペンスキー18名、テレマークスキー2名、スノーボード2名。さらに久慈修教育部長、松居文智理事、伊藤幸治、出口超、佐藤一臣の5名がデモコーチとして、運営役員として小池穂高教育部員が参加した。

期間中はあいにくの悪天候に見舞われたが、今回の合宿は今年3月にブルガリアで開催されるインタースキー(世界スキー指導者会議)のSIAデモンストレーターのトレーニングも兼ねていることから、その内容は例年以上の濃い密度となった。

雪上初日午前中に行なわれたのは、ブーツのアッパーシェルを外した状態で滑走し、ポジションを洗練させるカリキュラム。足首、膝、股関節の下肢主要3関節をバランス良く使い、常にスキーの真上にポジショニングすることが求められる高度なトレーニングだ。最初はプルークボーゲンから始め、徐々にスピードアップして約2時間後には片足ショートターンでのフォーメーションまでこなす。プロスキー教師としてバリエーショントレーニングの引き出しを豊富に持つ彼らとはいえ、その高い対応力には驚いてしまう。久慈修教育部長によれば、 「あえて前後バランスをシビアにすることで、下肢の関節が活発に動くようになり、重心を前に運ぶ運動が明確になります」とのこと。午後からは高速滑走をメインに、スノーボードやテレマークスキーとのコンビネーションも行なわれた。

合宿のカリキュラムは雪上だけにとどまらない。夜は理論研修、指導方法に関する議論、さらにインタースキーでの日本のワークショップテーマに向けた意見交換などが行なわれた。また、2020年秋発刊予定の新しいSIA公式メソッドの内容構築についても、さまざまなアイデアが飛び出した

ブーツを分解し、アッパーシェルを取り去った状態にして滑る。不安定さと難しさは容易に想像できるが、それをやすやすとこなしてしまうのはさすがだ。運動やバランスに大きな負荷をかけたトレーニングが、精度の高いポジショニングを完成させる

プロの誇りとともに、日本のスキー指導を世界に発信

インタースキー代表SIAチーム。先頭から、湯下万里、佐々木常念、可児徹、長谷川勝彦、藤本剛士、古谷正臣の6名。なお、SAJからは10名(男子8名女子2名)が選出されており、合計16名の布陣で日本代表チームを構成する。監督は久慈修SIA教育部長が務め、日本が誇る滑走技術、指導体系などを世界に発信する。近年日本国内のスキー場は世界的に注目されており、訪日スキーヤーが増加の一途をたどっている。それだけにインタースキーにおける日本チームの発表は大きな注目を集めることが予想されている

雪上2日目は、指導種目の展開とフォーメーション。インタースキー日本代表メンバー6名は終日フォーメーショントレーニングに取り組んだ。SIAではフォーメーション滑走を極めて重要に捉えているが、それは欧米諸国のスキー教師コンペティションがフォーメーションをメイン種目としていること、また「運動、リズム、流れを人に合わせる」というスキルこそ、スキーヤーとして真の総合力と考えているためだ。

今回の合宿は雪上研修が2日間という短い日程であったが、その内容と密度は極めて濃いものになったようだ。同時に、技術や指導理論と真摯に向き合う彼らの姿からは、プロフェッショナルの誇りと覚悟までが伝わってきた。SIAデモンストレーターは、全国の公認スキースクールに所属し活躍する現役のスキー教師。この冬、彼らが展開する素晴らしいレッスンを体験してみてはいかがだろうか。

スノーボードやテレマークスキーとのフォーメーショントレーニングを重視しているのもSIAの特徴だ。他種目と運動を合わせることで、おのずと技術の幅は広がる

技術と指導理論に向き合う眼差しは、ベテランも若手も変わらない

第40期SIAデモンストレーター

第40期SIAデモンストレーター。後列左から、塚田洋平(テレマークスキー/Wing Pro Ski School)、佐々木常念(戸隠フランススキー学校)、長谷川勝彦(高鷲スノーパークスクール)、松崎健克(木島平プロスキースクール)、高本稔(SAPPORO SNOWSCHOOL)、藤本剛士(サニープロスキースクール)、的場佑樹(高鷲スノーパークスクール)、的場達也(ブロッサムスキースノーボードスクール)、岡本大樹(ヨーデルスキー学校)、湯下大地(エコーバレースノースポーツスクール)、左近一平(オニコウベ スキー&スノーボードスクール)、田中宏典(スノーボード/苗場スノースクール)。前列左から、國井理裕(スノーボード/MZ白石スノースポーツスクール)、佐藤寛(テレマークスキー/エコーバレースノースポーツスクール)、可児徹(ISG Ski Academy SUGADAIRA)、今元将(大鰐スキースクール)、古谷正臣(札幌NEスキースクール)、佐伯知彦(立山アドベンチャースノースクール)、小上理恵(木島平プロスキースクール)、湯下万里(エコーバレースノースポーツスクール)、阿部理沙(スクエアスキーレッスン)、福田咲(菅平ハイランドプロスキースノーボードスクール) *井上強(ハチ高原スキーアカデミー)は欠席

文と写真:近藤ヒロシ