「性能至上主義」のもと、たゆまぬ進化を続けるレクザムブーツ。
デビューから四半世紀を超え、スキーブーツの歴史に数々のエポックを残してきたレクザムから、
また新たな革新的ブーツコンセプトが発表された。
そのニューモデル名はR-EVO。
REXXAM EVOLUTIONから名づけられた R-EVOコンセプトの全容が、いまここに明かされる。
2019-2020レクザムのトップモデルとなるR-EVO、およびその開発設計思想となる
R-EVOコンセプトについて、開発担当者であるレクザム スポーツ事業部 開発チームリーダーの渡辺剛一と、
開発テスターのリーダーでもある元全日本ナショナルデモンストレーターの佐藤久哉の二人が語り合った。
渡辺剛一(以下:渡辺)
完成品としては昨年12月の軽井沢での雪上テストが最初となりましたが、その時の滑走フィーリングはどうでしたか?
佐藤久哉(以下:佐藤)
いちばん印象的だったのは、ブーツの中心の少し前の部分からエッジがグイグイと入ってきてくれることでした。捉えも早いですし、捉えた後もスキーが外に逃げることなく吸い付くような感覚がありました。スキーがたわんでくれるのでエネルギーが溜まりやすいし、その溜まり具合もコントロールしやすいので、今までとはひと味違うターン弧を実現できる気がします。これはやはり、骨格についてメスを入れた結果なんでしょうか。
渡辺
以前から骨格模型を見ていて、骨と骨が良い位置関係を保っていればしっかり立てることはわかっていました。土台である下肢が安定すれば上肢が安定し、上肢が安定すればスキー操作は楽になるはずなんですが、それにはどうすれば良いか、5年くらい前から模索していたんです。
佐藤
スキーヤーの下肢や足には、膝が内側に入る人や左右差がある人などいろいろなパターンがありますが、それを1つのブーツにまとめなければならない大変さがありますね。でもレクザムは日本人の骨格や筋肉のつきかたをすごく研究していて、甲高の僕でもR-EVOは何もいじらずに違和感なく履けました。
渡辺
外国人の足を見ると驚くほど骨格が大きいんです。骨格の仕組みの参考にしたのは外国人女性の模型ですが、日本人男性の足はそれと同じくらいで、外国人男性と比べると骨格が二回りくらい小さい。つまり外国人のパワーに対して日本人は繊細なので、繊細に動けることを武器にできるブーツを作らなくてはと考えました。
佐藤
なるほど。ただ、本質的な部分は日本人も外国人もなくて、どちらが履いてもタイムを出せたり効率良く滑れたりしなくてはいけないと思います。その点についても、設計の面では日本人にしか合わないわけではなくて、スキーブーツの本質をついてるような気がします。
渡辺
今回はブーツソールをしならせたり上下動に着目したりと、少し違う切り口から考えていきました。これまでもインナーブーツでは理想的なポジションを取りやすいよう開発してきましたが、もっと雪面に近いところでコンタクトをとって足首操作の妨げにならないためにはどうするかという根本の部分が、今回のR-EVO POSITIONにつながってきていると思います。
佐藤
レースのセットも変わってきてますし、スキーの形状、強度、滑り方も全く違ってきているわけですから、そういう環境に対応し、ブーツも進化しなくてはいけません。その進化の第一歩を踏み出すためのR-EVOコンセプトなんだと思います。
佐藤
先ほど話したように、R-EVOを履いてみていちばん感じたのは、雪面から来る外力をうまく受け止める、いわゆるサスペンション的な要素でした。感覚的には雪面に吸い付くようなエッジングができるのですが、これは新しい発想のフレームが影響してるのではないかと思います。バーンが硬くなればなるほど雪面コンタクトが良くなって、ガツンとはじかれるのではなく吸い付くイメージです。
渡辺
以前のDATAはリアセクションが硬く、その前部分がちょっと柔らかいため、エッジングがドリフトのような感覚がありました。それを解消したのがPowerREXで、しっかりとエッジが噛んで外れにくいイメージです。R-EVOはエッジがしっかりと噛み、外そうと思えば外せる、自由自在にエッジングをコントロールできるフィーリングがあります。
佐藤
ロア・フレームはフロント、センター、リアのフレックスを3つに分けたんでしょうか。それとも設計を分けて行ない、リンクさせる時点で整えたんでしょうか。
渡辺
各部位で設計しました。ブーツ底面についてはPowerREXの設計を基本に、その上に乗るフレーム部分は巻き込みの良いDATAの設計を基本とし、さらに最新の設計思想を組み合わせて新たに設計しました。両サイドのENERGY GROOVE LINEは新しい機能デザインとして、ソールのサイド部分にも新しくSCOOPE SOLEという窪みを設けました。
佐藤
それは初めてのことですね。そういった仕組みが今まで以上の雪面コンタクトのしやすさにつながってるんだと思います。
渡辺
各セクションの各部位で立ち上がり方や角度が違うのですが、それぞれの部分で最適設計を追求し、ベンチテストや滑走テストを繰り返しながら試行錯誤を積み重ね、贅肉をこそぎ落としていった結果として生まれたものです。
佐藤
確かに、最終的なプロダクトの1つ前の段階では、リアがもっと柔らかくて、アッパーカフがヨレる感覚がありました。でも「ロアシェルは良い仕事をしてる」って報告しましたね。
渡辺
そこからもうちょっと足元を固めた方が良いということで、リアをしっかりさせたり改良を加えました。R-EVOコンセプトは5年前から考えていたのですが、レクザムブーツの開発にはデビュー以来25年以上携わっており、その全てのモデルが全部つながってR-EVOが生まれてきたのです。
佐藤
どんどんバージョンアップしてる感覚ですね。今回はフルモデルチェンジですが、とはいえ、かつてのDATA からうまく積み重ねていって、いいとこ取りでそぎ落としていくということですね。とくにソールはスキーを操作する上でステアリングの部分ですから、一番重要なところを確実に設計してきたと感じています。あと、足入れしたときに包み込まれる感覚があって、どこも当たるところがないというのは、試乗会のテスターみんなが言っていました。
渡辺
まず、下肢のポジションが良いところにくるから、踵骨や距骨が傾かずに骨が出っ張らない。また、クルブシなど骨が形状的に出っ張っている部分はラスト形状で広く設計しているため、足が包み込まれるような感触となります。加えてシェルが自動的に広がる、寄ってくるで足幅に合って巻き込むAUTO FIT機能が、居心地の良さにつながっています。
佐藤
広がる? 寄ってくる? それはどういうことですか?
渡辺
従来のDATAは締まりすぎるくらいによく締まるブーツでした。その構造を分析・検証すると、シェルのある場所を柔らかくすると、シェルの開いたり閉じたりという動きが変化しました。また、ある部分をしっかりとした構造にすると、必要以上に広がらないで巻き込むことが判ったのです。こうした各部位の検証を積み重ね、シェルの中に関節のように動くポイントをいくつか設定したのです。
佐藤
雪面コンタクトやスキーのしなり感、解放後の走り感はとても良く感じられますが、居心地が良いというのも非常に大切ですね。選手なら長時間練習できますし、一般のスキーヤーだって一日中履いていても痛くない、なおかつ足の着脱がラクで軽量設計のために疲れない、居心地が良いブーツが一番ですから。
違和感なく足が真っ直ぐ入ります。小指の中足骨をフラットにして踏め、重さも出せる上に動かしやすかったです。また、ブーツがたわんでスキーがたわんでいるのも足裏で実感できるので、ターン中にスキーが止まらない、スキーがビュンと走る感覚がありました
これまでのモデルの反発力とは違う、粘り強さを感じました。ブーツソールがしなる設計ですが、そのしなりが粘りとなって出てきてるようです。全体が粘ってターン前半から後半までしっかりと乗れ、スキーのコントロール性も高くて滑りやすかったです
人間の足は負荷をかけない(宙に浮いた)状態では踵骨・距骨が水平となり、脛骨・腓骨が真っ直ぐになるという人間の足の特性に着目。ラスト設計により、ブーツの中でもこのような理想的な足の状態を再現するのが「R-EVO POSITION」。ブーツを履いたときに踵の土台である踵骨を垂直に導く。また、脛骨と腓骨が連動する回旋動作では、膝がスキーの方向にスムーズに向くため、ずらし操作を自在にコントロールできる。さらに、距骨に隣接する舟状骨を理想的な位置に誘導。前傾時も甲部分の形状を保持することで、よりリラックスした状態でポジションがキープできる。
踵骨が垂直、距骨が水平になることで、脛骨・腓骨が真っ直ぐになり膝入れ方向と足の方向が一致する
踵骨が傾くことでその上に乗る距骨・脛骨・腓骨が傾き、膝入れ方向と足の方向にズレが生じる
滑走時には、スキーブーツに前後、左右、そして上下からも力がかかることに着目。ロア・フレームの肉厚や形状などをフロント、センター、リアの3セクションそれぞれの特性に合わせた設計を行ない、フレームのサスペンション機能をコントロール。各セクションをリンクさせることでスキーのたわみを生み、たわみを解放することで推進力に変換し、なめらかな滑りを実現。
フレームのサイドに刻まれた「ENERGY GROOVE LINE」は、各セクションに適したフレーム性能を実現するための肉厚設計から生まれた機能デザイン。ソールサイド部分には各セクションに最適な振動吸収性能をもたらす「SCOOP SOLE」を設定
シェルの肉厚設計により、複数のフレックス・ポイントをロアフレームにデザイン。ポイントを支点として関節のように曲がりやすいため、広い足幅に対してはシェルが自動的に広がり、狭い足幅に対してはバックルを締めることでシェルが適切に寄ってくるため、甲部分の形状を保持したままバックルの締め込みが可能。スキーヤーの足幅に合わせてオートマチックにシェルの足幅が調整される。
雪面の捉えとコンタクトを重視した設計。曲げ、ねじれの両方向に対して高い強度を持ちつつ、振動をミディアムに吸収する
ソール・ボトムの立ち上がり、フレームの肉厚設計を調整し振動を的確に吸収。同時に曲げ方向への適度な剛性により、ソールがきれいにたわみやすい設計
切れとパワー伝達を重視した設計。曲げ、ねじれの両方向に対して高い強度を持ち、パワーを的確に伝達する
SAJテクニカルやクラウンに挑戦するエキスパートスキーヤーのためのFLEX120モデル。AUTO FITの採用により、95mmのスリムラストながら足幅は93mmから98mmまで対応。
※R-EVO Sラインアップ:150S / 130S / 120S / 110S / 100S / 90S
SAJ1級クラスの上級スキーヤーのためのFLEX110モデル。AUTO FITの採用により、98mmのミディアムラストながら足幅は96mmから102mmまで対応。
※R-EVO Mラインアップ:150M / 130M / 120M / 110M / 100M
SEMI AUTO FIT 101を採用した新登場のオールラウンドモデル。足幅が広い人でも足裏が底面にしっかりつく感覚があり、リラックスしたクルージングが楽しめる
※PowerMAX-WIDEラインアップ:100 / 95 / 90
ラスト幅98mmのオールラウンドシリーズPower MAXの最上級モデル。反応の良さと快適性を両立させた中・上級者向け。新バージョンのBX-Sインナーを採用
※PowerMAXラインアップ:100 / 95 / 90
モーグルの堀島行真選手仕様の限定モデル。R-EVOコンセプトのSラストを採用し、スキーのたわみと推進力を引き出した新しい感覚の滑りが可能になった
※XXラインアップ:LIMITED / 8.0 / 7.0
■問い合わせ/レクザム スポーツ事業部
☎06-6532-8968 https://rexxam.com
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