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レクザムが出したスキーブーツ
2つの答え

スキーブーツの歴史に数々のエポックを残してきたレクザムブーツから、ニューモデルがリリースされた。
革新的なコンセプトから誕生した「R-EVO」。
性能至上主義と快適性追求の姿勢が融合した「PowerMAX-WIDE」。
この2モデルの魅力を、デモンストレーターおよびギア・スペシャリストが語る。

レクザムのニューモデルは 新しい感覚と、これまでにない バランスの良さが光る

SAJナショナルデモンストレーター

竹田征吾

たけだせいご●SAJナショナルデモンストレーター認定5期目。第56回全日本スキー技術選手権大会総合49位。最高位は第39回大会の4位。シーズン中は戸隠スキー場やパノラマスノーアカデミーでレッスンやキャンプを行なう。小賀坂スキークラブ所属

R-EVOシリーズは、今シーズンからお目見えするレクザムのニューモデルです。R-EVOの開発には5年以上の年月が掛けられていますが、そこには私も含め、多くのテスターやアドバイザーのさまざまな要望や意見がフィードバックされています。

私は一般スキーヤーに先立ち、2‌0‌1‌8/1‌9シーズンを通してR-EVOを使用しました。このブーツで滑って最初に感じたのは軽さです。数字的な重量も軽いのですが、軽快にスキー操作ができる点に驚きました。それまで履いていたブーツはソールの剛性が強いために、雪面と足の間に距離を感じていました。それが影響するのか、スキーの足下部分に圧が掛かり過ぎた場合、そこでスキーが止まるような感覚があったのです。

その点、R-EVOはソール剛性が少し柔らかくなり、さらにブーツソール自体がたわむというこれまでになかった感覚があります。ブーツソールが微妙ながら適度にたわむことで、スキー全体がきれいにたわむようになり、スキーがスムーズに動いてくれます。このことが軽快さにつながっているのだと思います。「柔らかい」「たわむ」とはいえ、ねじれなどに対する剛性は強く1シーズン履き続けても歪みやヘタりは全くありません。とにかくこれまでのレクザムとは違った新しい感覚のブーツです。

オールラウンドモデルのPowerMAX-WIDEもこれまでにない、バランスの良いブーツという印象です。私は普段はオールラウンドモデルは履かないのですが、足のコンディションの関係でシーズン中の一時期、使用していました。

モデル名に「WIDE」とあるだけに、足が幅広の私でも違和感なく履くことができました。オールラウンドブーツで幅広タイプというと、足を入れた感覚がソフトで、まるでソファーに座ったときのようなフワフワ感があるものです。快適といえば快適ですが一方で鈍感さがあり、スキーがどうなっているかという情報が伝わりにくいため、スキーがグラグラして怖かったりします。しかしPowerMAX-WIDEは幅広タイプの快適さを持ちつつ左右やねじれの剛性が高くしっかりしているため、情報がより正確に伝わってきてスピードを出して滑ることに不安を感じませんでした。

ロングターンはカービングでギューンとターンを描けますし、R-EVO同様軽快なスキー操作ができるのでとくにショートターンがしやすい印象です。スキーの足下のたわみ感があって引っかかりを全く感じず、軽いタッチでスキー操作ができました。オールラウンドモデルとはいえ、侮れないポテンシャルを持ったブーツだと思います。

気を遣わず力も使わないという点で、一日中、楽しんでスキーをしたいというスキーヤーにお勧めのブーツです。また、痛いブーツはもう履きたくない、でもしっかり滑りたいというシニアスキーヤーにももってこいではないでしょうか。

パワフルかつ繊細な竹田デモの足下を支えるレクザムブーツ

PowerMAX-WIDEは快適なうえ しっかり滑れるポテンシャルの持ち主

第41期SIAデモンストレーター

藤本剛士

ふじもとつよし●SIAデモンストレーター認定12回。冬季は志賀高原・サニープロスキースクールで指導に当たるほか、学生・社会人チームのコーチも務める。dot line sports代表

PowerMAX-WIDEはオールラウンドモデルのPowerMAXの足幅を広げ、‌1‌0‌0〜1‌0‌5㎜に対応するセミオートフィットを採用し、足先にも余裕を持たせた設計になっています。ですから足にボリュームがあり、これまで快適なブーツになかなか出会えなかった方でも、窮屈さを感じたり滑走中に足先が冷たくなったりすることなくスキーが楽しめるブーツだと思います。

足先に余裕がある一方、ワイドなブーツにありがちなブカブカ感は全くありません。そのため履いている最中の感覚がとても軽く、動きやすいこともこのブーツの特徴の一つです。加えてブーツの脱ぎ履きが非常に楽なので、滑りを楽しみつつ、子供との遊びの時間も大事にしたいというファミリースキーヤーにもお勧めです。

もちろん滑走時には高いポテンシャルを発揮してくれます。足首周辺はしっかりホールドしてくれるので、スピードを出しても安定したスキー操作が可能です。また、ブーツのソール底面がリブ構造になっていて、曲げ方向、ひねり方向に柔軟性があります。このことでスキーに力を伝えたときに過度にエッジが反応することなく、良い意味で力が少し逃げてくれるので、エッジを立てたカービングから前半にスキーをずらしてコントロールするような滑りまで、さまざまな滑り方に対応してくれます。まさにオールラウンドに滑れるブーツと言えます。体格や体重、技術レベルで1‌0‌0、95、90の3種類からフレックスを選べるので、中上級レベルから初心者までの上達を目指すスキーヤーの強い味方になってくれるでしょう。

革新的コンセプトのR-EVOシリーズ 上達には柔らかめのモデルがお勧め

レクザム・アドバイザリースタッフ

村松 篤

むらまつあつし●Mt.石井スポーツ・プロスタッフとして新宿西口店でユーザーにアドバイスを行なう、スキーギアのスペシャリスト。「シーズン中は学生・社会人チームのコーチ、東京都スキー技術選のジャッジも務める」

レクザムのニューラインナップであるR-EVOラインは、5年以上かけて開発された革新的なコンセプトを持つブーツです。実際に履いて滑ったフィーリングで強く感じたことは、スキーのたわみを引き出しやすいことです。LINK FRAMEのテクノロジーでブーツのソール自体もたわむ感覚があり、ターン前半でつま先からしっかり捉えられ、スキーのセンターがたわんで、ターン後半には踵で抜けていくというターンがとても作りやすかったです。その中でしっかりした剛性と粘りのある柔らかさを感じました。

機能的に興味深いのは、シェルの肉厚の配分によってスキーヤーの足に合わせてシェルが自動的に足幅を調整するAUTO FIT機能です。たとえばAUTO FIT 98ラストは、やや細めの足幅96㎜から幅広の1‌0‌2㎜まで対応してくれるので、スキーヤーがサイズ選択をしやすくなっています。

シリーズにはラストやフレックスの違いで11モデルがラインナップされています。足幅や体格、体重に合わせて選ぶことが原則ですが、これからさらに上達したいという中・上級スキーヤーには、操作感の良いフレックスが1‌1‌0以下のモデルがお勧めです。R-EVO 1‌1‌0‌Mと1‌0‌0‌Mは、AUTO FIT 98ラストを採用。女性スキーヤーにはAUTO FIT 95ラストのR-EVO 90‌Sがお勧めです。足入れ感やフィット感は雪上でなくてもはっきり感じられるので、ショップでぜひ試し履きすることをお勧めします。

PowerMAX-WIDELINEUP

滑りと快適性のベストバランス

PowerMAX-WIDE100

  • ¥69,000(税別)※BX-Sインナー仕様
  • SIZE:240〜275
  • LAST:SEMI AUTO FIT 101(100-105mm=260)
  • FLEX:100
  • WEIGHT:1,910g(265)

足前に自信があるスキーヤーにうってつけの性能と、深雪からコブ斜面まであらゆるシチュエーションを1日中滑れる快適性を高い次元で両立したモデル

PowerMAX-WIDE95

  • ¥65,000(税別)※BX-Sインナー仕様
  • SIZE:240〜275
  • LAST:SEMI AUTO FIT 101(100-105mm=260)
  • FLEX:95
  • WEIGHT:1,910g(265)

ゲレンデをオールマイティに楽しみたいという中級レベルのスキーヤーにお勧めの、フレックス95モデル。足前に自信がある女性スキーヤーにも最適

PowerMAX-WIDE90

  • ¥55,000(税別)※CX-SSインナー仕様
  • SIZE:240〜275
  • LAST:SEMI AUTO FIT 101(100-105mm=260)
  • FLEX:90
  • WEIGHT:1,940g(265)

熱成形でカスタマイズ可能なCX-SSインナーを採用した初・中級レベルのスキーヤーのためのモデル。軽量でソフトな足当たり、温かさはベテランスキーヤーにもお勧め

PIC UP TECHNOLOGY

  • 15%軽量化されたロアシェル

    シェルラストをワイド化したことでシェル肉厚を見直し、最適設計によりPower MAXと比べてロアシェルの重量を15%軽量化

  • 指先に余裕を持たせたワイドラスト

    足幅のワイド化に加え、小指付け根や親指先端部分をゆとり設計。同時に土踏まず部分や踵部を広げ、安定感を高めた

  • SEMI AUTO FIT 101

    シェル内側にフレックスポイントとなるリブ構造を採用。足幅100mm〜105mmに対応するSEMI AUTO FIT設計を搭載

  • Yカット・シェル

    ロアシェルの重なり部分にシェルを開きやすくするYカット構造を採用。足入れがしやすいイージー・エントリー設計

R-EVOLINEUP

上達を手助けする新感覚の軽快なスキー操作

R-EVO110M

  • ¥76,000(税別)※BX-Hインナー仕様
  • SIZE:220〜285
  • LAST:AUTO FIT 98(96-102mm=260)
  • FLEX:110
  • WEIGHT:2,080g(265)

あらゆるバーン状況や滑走スタイルでも扱いやすい設定に加え、優れた振動吸収性能と的確なエッジコントロール性で、自由自在に滑ることの楽しさを満喫できる

R-EVO100M

  • ¥70,000(税別)※BX-Hインナー仕様
  • SIZE:220〜285
  • LAST:AUTO FIT 98(96-102mm=260)
  • FLEX:100
  • WEIGHT:2,065g(265)

シチュエーションを問わず扱いやすい性能で、中・上級スキーヤーにお勧め。動きやすいうえ、足を的確に固定する安心感のあるサポートが頼もしいシェル剛性が魅力

R-EVO90S

  • ¥59,000(税別)※BX-Sインナー仕様
  • SIZE:220〜265
  • LAST:AUTO FIT 95(93-98mm=260)
  • FLEX:90
  • WEIGHT:1,880g(245)

足幅93〜98mmに対応するAUTO FIT95ラスト採用。上達を目指す足幅が細い女性スキーヤーにお勧め。ジュニアのレース入門用としてもうってつけのモデル

問い合わせ/レクザム スポーツ事業部
TEL 06-6532-8968 https://rexxam.com

文:眞木 健 / 写真:近藤ヒロシ、黒崎雅久 / 撮影協力:戸隠スキー場、戸隠高原ホテル、Mt.石井スポーツ新宿西口店