スキーブーツ作りの本場イタリアで、メイド・イン・イタリーにこだわったブーツ作りを続けるダルベロ。そのダルベロが送り出したオンピステモデル「DS」シリーズは、そのデザイン性の高さが目を引く。
しかし、このエポックな外観には確かな思想と技術に裏づけられた実力が隠されていた。
ファッションはもとより、自動車や家具など、機能とデザインの美しさを兼ね備えたアイテムを送り出し続けているイタリア。そのイタリアで自国生産にこだわったスキーブーツ作りをしているダルベロの、レーシングブーツに次ぐシリーズに位置づけられるのが、「DS(ダルベロ スポーツ)」ラインだ。
DSで目を引くのは、シェルに施されたフレームのようなデザインの「パワーケージ」だろう。しかしこれはただのデザインではない。シェルのPU素材を極力薄くし軽量化を図るとともに、独自の技術「バイインジェクション」を用いパワーケージを組み込むことで剛性を確保しているのだ。パワーケージはシェル背面ではバックプレートの役割も果たしている。シェル表面はパワーケージ部が盛り上がっているが、そのつなぎ目は完全にシームレス。シェル内部は凹凸がなく、まったく一体化している。
この構造により薄く軽量化されたシェルとカフは足入れが楽なうえ、高いフィット感を実現。同時にフレックス感がありながら、しっかりとした剛性により確実なパワー伝達性を身につけている。同じくデザインとも思えるシェル下部の「3Dグリップテクスチャー」も、実は温度変化によるブーツ足裏のシェルの歪みを抑え、パワー伝達性とエッジグリップ力を向上させている。「とにかく軽いので、移動や歩行がとても楽」、との第一印象をもつ中川康博が滑走感覚について語る。
なかがわやすひろ●1958年11月15日生まれ、北海道出身。名スキーヤーとして1980年代に全日本技術選手権大会などで活躍し、現在はMDVスポーツジャパン北海道デモチームコーチ
「足入れがとても簡単で、また、前傾角が深すぎずちょうど良くセットされているので、スキーの上に立つポジションが楽でとても快適に滑れます。軽い滑走感覚がありますが、ハイスピードで滑っても不安はまったくなく、スキーにパワーをしっかりと伝えられ、エッジグリップも効かせられます。また、足裏の感覚も鈍くなく、スキーのたわみを感じやすいので、高速での微調整もしやすいです。剛性が高すぎないぶん、ずらしを使うときは動きやすいというメリットも感じました。しっかり滑りたい、でも楽に滑りたいという人にお勧めです。オールラウンドモデルのスキーとの相性が良いと思いますが、デモ系のスキーの性能も十分引き出せると思います」
機能追求した結果のデザイン。真の機能美を持ったスキーブーツと言えよう。
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