スキー情報総合サイト スキーネット:SKINET

武田竜 挑戦者として #2「誰も追いつけないところへ」
Ryu Takeda + Jeep Go Anywhere,Do Anything

アルペンレーサーとしての血を色濃く残したまま、かたちも感覚も変えることなく、
技術選という異なる競技の頂点に立った武田竜。
スキー界で今最も注目される男は、チャンピオンとなっても挑戦者の姿勢を貫き、
技術選に新しい風をもたらすべく己のスタイルを追求し続けている。
新たに相棒となったJeepとともに。

#2「誰も追いつけないところへ」

──技術選がまさかの中止に。どう受け止めていますか?

武田中止にはなってしまいましたが、事前のトレーニングや、自分の滑りを見たときに、連覇できたんじゃないかなって思っています。勝てる流れはありましたから。トレーニングの段階から自信を持ってやれていたので、あとは結果が出るのを待つだけという感じでした。だから大会がなくなったことよりも、来年に向けてどう過ごすかを考えています。来年は1つ年を重ねて、今よりも体が動かないかもしれない。そうならないように、今の状態を維持し続けることが大切だなと。これまでやってきた夏のトレーニングがいったんリセットされたと考えて、また来年の3月に向けて準備をするだけだと思っています。

──調子はどうでしたか。

武田すごくよかったですよ。体の調子がいいというか、バランスが良くて。雪の変化によって失敗するようなシーンもありませんでしたし、準備は100%できていたと思います。

──前回のインタビューで、進化したロングターンを見せたいと話していましたが、具体的にはどのようなものだったのですか?

武田去年はスキーの走りや抜け、ターンスピードを重視していましたが、今年はさらにスキーの性能をフルで生かすようにというか。自分の身体はそんなに動かさなくても、ポイントを押さえておけば、スキーはこんなにも動くんだっていうことがわかってもらえる滑りを見せたかったです。とくに急斜面になればなるほどわかりやすいのですが、それをどんな斜面でも見せられるように滑るというのが、来年への課題ですね。

進化したロングターンを見せたかったという武田。その全貌は来シーズンに明かされるはず

──ショートターンについてはどうですか。

武田ショートターンは、みんなの滑りが僕の滑りに寄ってきている感じがあって。だから今年は少し新しいことを取り入れてみました。他の選手が「今年はそういう感じでいくの?」って声をかけてくれるような仕上がりでした。今までやってきたことのすべてが僕のスタイルではあるんですが、今シーズンの滑りはみんなが持つイメージとは少し違ったみたいですね。ただ、実際に僕の滑りを見た人たちの反応を見ると、来年もまた技術選を引っ張っていけそうな気もしました。みんなに見てもらったうえで「あれはちょっと違うな」と思われるのか、あるいは「そういう滑りがあってもいいよね」と思ってもらえるのかはわかりませんが。みんなの頭の片隅に少しでも印象を残して、ふとしたときに話題に上るような滑りをしたほうが面白いですからね。

「自分のスタイルで思い思いにやればいい」

──独自のスタイルを貫き、自分の路線を築きつつありますね。

武田みんなが追いついてきた頃にはまた違うことをやる、というのを続けていかなきゃいけないなと思っています。誰も追いつけないように、そして質も落とさないように。これが正解かどうかはわかりませんが、みんなが注目してくれている間はそうしたいですね。まわりの流れに合わせないように、自分から流れを作っていくというか。僕が今年やったことを、来年に向けてみんなで「あの選手がこう変えてきたから、こういう滑りのほうがいいかも」とか「あの選手にしかできないから、まねしたって仕方ないな」なんていう話ができたら面白いじゃないですか。

──技術選を楽しんでいる感じがしますね。ファンとしてはそういう選手が1人でも多く出てくることを期待しています。

武田そうですね。能力のある選手は、自分のスタイルで思い思いに技術選を楽しんでほしいと思うんです。今回の八方での撮影中も、若い選手に「なんでもっと自分のスタイルを出さないんだ?」って言ったりしていました。アルペンから転向してきた選手は、なぜかまわりの選手に寄せようとしてしまう。僕も技術選にデビューしたときに、同じようにまわりに合わせようとしたこともあったのですが、今思えばそんなことをする必要はなくて。自分のスタイルをどんどん出して滑ったほうがいい。それが評価にもつながるだろうし、何よりもまわりに合わせてしまうことで、本来出るはずだった芽が出なくなるようなことは起こってほしくないので。


今シーズンの活動を、ジープブランドの象徴ともいえるラングラーとともに送ってきた武田。ラングラーといえば、野性味とモダンなフォルムが共存する独特の魅力をもち、最新のテクノロジーによる高い安全性能で知られるSUVだ。とくに武田が今回選んだルビコンは、そのなかでも走破性に優れたジープ最強グレードの一台となっている。今シーズンも終盤に差しかかり、新たな相棒にも慣れてきたところで、あらためてその魅力について聞いてみた。

──ラングラーとともにシーズンを過ごしてみて、その魅力とは?

武田ラングラーは見た目もカッコいいですが、走りっぷりもタフですね。悪路やデコボコした道なんかも平気で走るような車ですし、それでいて衝撃もしっかり吸収してくれるので乗ってみると穏やかで。雪道ばかりのシーズン中の移動には助かりました。オフロードカーのような雰囲気をもちながら、加速はスムーズだし走っていても静かなんです。小回りも利きますし、アウトドアシーンにはもってこいの一台ですね。

──スキーヤーにとってもうれしいスペックが充実している印象です。

武田そうですね。車内の操作についてはシンプルで使いやすく、あったらうれしいなっていう機能がけっこうたくさんある。モニター操作はタッチパネルなので便利ですし、ラゲッジスペースには高さがあるので荷物もたくさん入ります。乗るたびに良さを実感しています。

GSのスキーもすっぽり収まるラゲッジスペース。富山南砺国体もラングラーとともに戦い抜いた

乗れば思わず冒険心をかき立てられる、ジープならではのワイドなコックピットは魅力的

Jeepの文字が頼りがいを感じさせるスペアタイヤ。後背部からのフォルムも洗練されている

ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン
(Jeep Wrangler Unlimited Rubicon)

全長:4,870mm/全幅:1,895mm
全高:1,850mm/最低地上高:200mm
車両重量:2,050Kg/乗車定員:5名/エンジン種類:V型6気筒/総排気量:3,604cc/使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
最高出力:209kW(284ps)/6,400rpm[ECE]/最大トルク:347N・m(35.4kg・m)/4,100rpm [ECE]/後2輪・4輪駆動・オンデマンド方式4輪駆動(選択式)
全国メーカー希望小売価格:¥6,120,000(税込)
問い合わせ:ジープフリーコール
Tel:0120-712-812
https://www.jeep-japan.com


アルペンと基礎という異なるフィールドで躍進し続ける武田は、富山南砺冬季国体のGS競技で3位に入賞。連覇を目指していた技術選は中止となり、自身にとっては不完全燃焼なシーズンとなったかもしれない。だが、気持ちはすでに、次のシーズンへとフォーカスされているようだ。

──前回のインタビュー後に行なわれた富山南砺冬季国体は、今シーズンのもっとも大きいイベントとなりましたね。

武田そうですね。結果は3位だったのですが、国体と技術選の2冠が今シーズンの目標だったので、達成できず悔しさが残ります。来年に持ち越しですね。

──武田さんにとって、国体は技術選と同じ位置づけですか? それとも別のものとして捉えているのでしょうか?

武田同じ位置づけだと思っています。アルペンと基礎で違いはありますが、両方で勝てる選手はやっぱり技術的にも関連させている部分があると思います。来シーズンはどうにか2つともそろえたいですね。

──技術選チャンピオンとなった今も、やはりアルペン競技に触れる時間は必要なのですね。

武田必要です。アルペンの選手を教える機会がありますし、それには自分が滑らないと忘れちゃうんですよね。頭の中に理論はあっても、選手それぞれの成長に合わせて指導していく対応力のようなものは、実際に滑らないと養えなくて。コーチになったら滑らないという人がほとんどかもしれませんが、僕はまだ滑れますし、それが自分自身のスキルアップにもつながるので。滑れるうちはこのやり方でいこうと思います。

文:渡部 麻結 / 写真:木下 健二 / 協力:菅平高原スキー場、プチホテル ゾンタック