アルペンレーサーとしての血を色濃く残したまま、かたちも感覚も変えることなく、
技術選という異なる競技の頂点に立った武田竜。
スキー界で今最も注目される男は、これまでとは違うオフシーズンを過ごしながら、
自分やまわりの状況を見つめ、その中でできる新たな一歩を踏み出していた。
相棒のジープ グランドチェロキーとともに。
武田生活自体は大きく変わらず、いつも通りトレーニングを行なっていますが、イベントがなくなったぶん、今後のことについて考える時間がたっぷりありました。家族と過ごす時間も増えましたね。
武田今後スキーヤーとしてどうなっていきたいかを考えたときに、自分発信で何かを生み出していくことが大切だなと思いました。コロナ禍の行動が制限される状況で、対面での仕事がしばらく難しいとなれば、スキーヤーだけではなくトレーナーやカメラマンの仕事にも影響が及んでしまう。その点、オンラインなら現地に行けない状況でもいろいろなことができる。それで考えるうちに、自分なりのオンラインサロンのアイデアが浮かんで、今はそれを形にするべく動いています。スポンサーであるIT企業やカメラマン、トレーナーと協力して準備を進めているところです。
武田はい。今進めているのは、とくにコンテンツの質を重視したものです。たとえば、トレーニングは僕が教えることもできるけど、専門のトレーナーが解説したほうが価値は高まる。映像は自分で撮影できなくもないけど、スキルを持ったプロに任せたほうが良質なコンテンツが生まれる。もちろんスキーの技術に関しては僕が培ってきたことを、言葉やデモンストレーションを駆使して誰もが理解できるように伝える。そんなふうに、専門知識を持つ人たちで役割を分担して、妥協せずに質の高いコンテンツを提供したいんです。そのほうが、みんなにメリットがあるから。
武田はい。ゆくゆくは「引退を決めたけど、今までスキーしかしてこなかったから今後が不安だ」っていう選手たちの受け皿を作りたくて。そういう環境が整ってくれば、プレーヤーとしても思い切りやりたいことを追求できるようになると思う。今、頑張っている若い選手たちもたくさんいるから、彼らをどんどん巻き込んで新しいことを始めて、スキーというスポーツ・遊びに触れる人たちが増えてくればいいなと。そのきっかけとして、自分ができることをやっていこうと思っています。
武田全日本スキー連盟のU16の選手たちのコーチと、北見工業大学が新設したスキーアカデミーのコーチをしています。北見工大では来年からスポーツ推薦でも選手を呼び集める予定なので、それに向けて今いる選手たちを育成しつつ、推薦の選手を受け入れる準備をしています。今はリモートでの指導がメインになっていますが、コロナ禍以前は週に1回、約4時間かけて北見まで指導に通っていました。
武田の愛車は、先進テクノロジーによる安全性能と高い走破性、ラグジュアリーな空間の融合を目指したジープのフラッグシップモデル「グランドチェロキー」。なかでも武田が選んだ「サミット」は、大自然を満喫できるオフロード性能と、上質なインテリアによる高級感を併せ持つプレミアムSUVとなっている。大学でのコーチングや遠征など、長距離のドライブが多い武田の心強い相棒だ。
武田ラングラーが持つオフロードカーのような雰囲気も好きですが、オフロード性能を備えていてタフなのに、街にも溶け込む高級感のあるデザインのグランドチェロキーもかっこいいなと思います。シートがゆったりしているから長時間運転していても疲れないし、視界も広くて快適ですね。
武田長距離を走ることが多いので、運転操作を補助する「エレクトロニック・スタビリティ・コントロール機能」や、前の車との車間距離を調節する「アダプティブ・クルーズ・コントロール機能」は重宝しています。北見まで片道約300㎞の道のりを運転するときも、疲れ方が全然違うんです。それから「SNOW」「SAND」といった走行モードの選択や、車高の調整ができることによって、常に路面の状況に適した走り方ができるところも気に入っています。
武田僕はずっとスキーをしてきたから、スキーをメジャーにできるようなことをしたい。ただ、僕がすべてをやるには限界があるから、みんなを巻き込んで何かをしたいですね。たとえば、スポーツ専門のアカデミーのようなものを作るとか。その競技のプロが指導者で、子どもたちは季節や興味に応じてやりたいスポーツを選べる、みたいな環境を作りたいなと考えています。その第一段階として、今準備を進めているオンラインサロンを立ち上げて、うまくいけば他の競技にも打診していきたいなと。スキーだけじゃなくて、スポーツ全体で一緒にできることを考えています。だからこそ、スキーではトップをキープしないといけない。その分野で最も影響力や発信力があるのは、やっぱりトップにいる人だと思うので。
それから、アルペン競技と基礎スキーの関係性をもっと強くしていきたい。基礎では一般のスキーヤーに接する機会が多いけれど、レーサーはどちらかといえば孤独。だから、基礎の世界にレーサーを巻き込んで、みんなで応援するかたちを作りたい。そういう意味では、アルペン競技に興味をもってもらう人を増やすのも僕たちの役目だし、競技と教育はつながっているべきだと思います。
武田はい。最終的なゴールがあって、今はそこに向かっている段階だと考えているので、プレーヤーとしての活動はゴールへの通過点のような認識です。何もないところから取り組むより、その分野のトップにいたほうが得られる情報やつながりが違ってくると思うので、プレーヤーとしての活躍も大事。だからこそ早く優勝したかったし、これからも勝ち続けていきたいと思っています。
武田レーサーの頃は厳しい競争の世界にいたから、誰かのことを考える余裕なんてありませんでした。でも今のような、プレーヤーだけど指導もできる立場になってからは、まわりのことばかり考えるようになって。最近はプレーヤー・指導者に関係なく、武田竜そのものを応援してくれる人たちや子どもたちが増えてきて。今は彼らのために何かがしたいというか、期待に応えたい気持ちが強いです。スキーはもう、自分だけのためにやるものじゃないですね。
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