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TWO-FACE 2つの表情をもつ
新生FISCHER THE CURV の実力とは

「THE CURV」がデビューを飾って5シーズン。
マイナーな改良は行なわれてきたものの、今回、初めて全面リニューアルが施されることになった。
曰く、新生「THE CURV」には2つの表情があるというが、気になる実力のほどはいかに?

THE CURV DTI

  • ¥110,000(税込)※ビンディング付
  • サイズ:150,157,164,171cm
  • サイドカット:120-70-102mm
  • ラディウス:13m(164cm)
  • ビンディング:RC4 Z11
  • プレート:Allride

THE CURV DTX

  • ¥140,800(税込)※ビンディング付
  • サイズ:157,164,171cm
  • サイドカット:117-70-100mm
  • ラディウス:15.5m(171cm)
  • ビンディング:RSX Z12
  • プレート:M-Track

THE CURV

  • ¥170,500(税込)※ビンディング付
  • サイズ:164,171,178cm
  • サイドカット:118-70-101mm
  • ラディウス:16.5m(178cm)
  • ビンディング:RC4 Z13
  • プレート:M/O-Plate

今回のリニューアルの最大の変更点は、ずばりコンセプト。時代の移り変わりとともに、スキーに求められる性能や方向性にも変化が求められてきた。そして次第に「THE CURV」との間に、多少なりともズレが生じてきたのだという。

これに対しフィッシャーが採った手法は、コンセプト作りを担うメンバーのリニューアル。ワールドカップ・レジェンドをミカエル・フォン・グリュニンゲン(スイス)とハンス・クナウス(オーストリア)の2人体制にし、新たにスキークロスのネクストジェネレーション、クリスティーナ・フォーデルマイヤー(オーストリア)とスタイリストでフリースキーヤーのカイル・スマイン(アメリカ)の4人のチームとなった。

突き詰めたターンに心地よさを感じるレーサーに、3Dなターンをイメージする若い女性、そして型にはまらないことを信条とするクリエーター。彼らがタッグを組むことで、スキーに「自由」と「真面目」という2つの表情を盛り込もうという発想だ。

そうして、ユニバーサルな志向の持ち主にフィットするスキーができあがったという。だがそんなスキーが本当に存在しうるのだろうか。

3つのラインナップが 乗り手の新たな一面を引き出す

今回のリニューアルではフィッシャーのコンペティションシリーズ「RC4」から「THE CURV」が独立。オンピステのハイパフォーマンスシリーズとしてのカラーが鮮明になった。ただし高性能な「RC4」の流れは継承しており、トップシートには「RC4」のエンブレムが輝いている。この流れを最も色濃く受け継いでいるのが、シリーズと同じ名前を持つ最上位モデルの「THE CURV」だ。「真面目」の代表格だった同モデルだが、新たなテクノロジーが内部構造にちりばめられている。

それを象徴するのはカーボンブリッジ。スキーのビンディングエリアに、両サイドウォールにかけて横方向に橋わたし状にカーボンが配置されている。足元のグリップ力が向上し、安定性に大きく貢献している。さらにウッドコアの量を減らし軽量化を目指すために採用されているのが、ダイアゴラップだ。ダイアゴとは斜めの意味。「THE CURV」では、カーボンを斜めに網目状に編んだダイアゴカーボンで、ウッドコアをぐるりとラッピングしてある。これによりコアの強度を保ちつつ軽量化に成功。ラップすることでトーションの強さやリバウンドの敏感さを引き出している。


一見、さらに強いスキーになったように思えるが、「『ホップ! ホップ! ホップ!』とテンションが上がるような、ウキウキするターンができる」と乗り味を表現するのは、元ワールドカップレーサーの清澤恵美子だ。基本的にはストイックな清澤だが、ノリのいい性格の持ち主でもある。「足元が雪面から離れない感覚があるのに、脚の動かしやすさを最初に感じました。エッジ to エッジのスキーの走りが抜群で、とくにターン前半にトップがスッと下に向きやすかったです。脚を動かしやすい点で、以前のモデルよりファンキーさが加わっていて、それでウキウキでした。スキーの長さを感じさせず、一日中疲れずに滑れます」

トップが短く感じられるほど 疲れ知らずで、雪面に吸い付く フルカービングが楽しい

清澤恵美子

Emiko KIYOSAWA

きよさわえみこ●1983年生まれ。神奈川県出身。3歳でスキーを始め、練習環境を求め歌志内高校(北海道)に進学。2005年ユニバーシアードGSで銅メダル。07年アジア大会GSで金メダルを獲得。ワールドカップ41レースに出場し、最高位はSLの21位。世界選手権にはサンモリッツ、シュラドミングの2大会に出場している。18年に現役を引退した後は、J SPORTSの解説者やコーチなどとして活動を続ける


また、2018/19の国体チャンピオンで、今年の第58回技術選では総合8位、SAJショナルデモンストレーターにも復帰した高瀬慎一は「ターン導入でのガツンと来る感覚が薄れ、柔らかく入っていけるようになりました。スピードを出しても安定感があるので、一日中、カービングを楽しめるスキーだと思います」と語った。

スムーズな走りと抜け感があり、ハイスピードでも安定。
ガツンと来る感覚が薄れた

高瀬慎一

Shinichi TAKASE

たかせしんいち●1977年生まれ。富山県出身。富山第一高校時代にインターハイを制覇。高校卒業後に一度スキーから離れるものの、約10年のブランクを経て現役に復帰。アルペン競技と基礎スキーで活躍を続ける。アルペンでは2019年札幌国体のC組で優勝。技術選でも常に上位を維持し、今年の第58回大会では自己最高位タイの8位を獲得。ナショナルデモンストレーターにも復帰した


一方「DTXは大のお気に入りです」と話すのは、レース指導を行ないながら自身は技術選でトップランカーに定着する大場朱莉(第58回技術選女子総合3位)。「DTXはカービングだけでなく、ずらしを入れた滑り方もできるモデルでしたが、よりトーションが出やすくなって悪雪でもコブでも使いやすくなりました。もちろんきれいなバーンでの高速カービングも安定していますが、小技を使いたいときは使えるスキーという印象です。走りはほしいけどパワープレーはしたくない上級者や、軽いので女性やベテランにも使いやすいと思います。パワーのない私でも、パワフルに見えるスキーができるんですよ!」と絶賛する。

これを可能にしているのは、ファイバーブリッジやダイアゴカーボンなどのテクノロジー。ファイバーブリッジは、ブリッジの素材をファイバーに変更することで、安定性を向上しつつ乗り味をマイルドに仕上げている。また、ダイアゴカーボンをラップではなくシート状に配すことで、トーション&フレックスのバランスを考慮しつつ重量軽減に貢献している。

足場の操作感が向上し、 スキーが動かしやすくなり ターン弧を自在に操れる

大場朱莉

Akari OBA

おおばあかり●1987年生まれ。宮城県出身。アルペンレーサーの両親をもち、幼少期よりスキーに親しむ。小学生からアルペン競技に打ち込み、2009年、学連枠で技術選に初参戦。技術選では毎年上位で活躍し、第55回大会では自己最高位となる総合2位を記録。今年の第58回大会では3位表彰台を獲得。また、技術選に挑戦する一方でレーシングチームを主宰し、ジュニアレーサーの育成に情熱を注いでいる


高瀬もまた「THE CURVシリーズは、そもそも目的やターン弧のくくりのないスキーですが、その中でもDTXはとくにオールラウンド。細かいことを気にせずに楽しく滑れる、それでいつの間にか上手に滑れるようになっているスキーですね」と楽しさを強調。 「ダイアゴファイバーが入っているので、軽いけれどしなやか。きちんとたわんで、ねじれもしっかり出る上質なスキー。めっちゃラクです」と大場が語るDTIを含め、よりシームレスなラディカルトリプルラディウスをシリーズ全機種に採用。さらにセンター幅が70㎜に統一されたことで、レベルや志向がより鮮明になり、ユーザーも選びやすくなっている。新生「THE CURV」は、乗り手の新たな一面を引き出してくれるはずだ。

THE CURVテクノロジー&コンセプト

カーボンブリッジ

ビンディングエリアに、スキーの横方向に対してカーボンを橋わたし状に配置することで、エッジの捉えと安定性を強化。カーボンブリッジは「THE CURV」に、「DTX」はファイバーブリッジを採用し、ややマイルドに仕上げている

ダイアゴラップ

網目状に斜め(ダイアゴ)に組んだカーボンで、ウッド芯材をぐるりとラッピングしている。ねじれ強度を保ちながらウッドの量を減らし、軽量化に成功。リバウンドの敏感さも特徴。最上位機種「THE CURV」に搭載

ダイアゴカーボン

ダイアゴに組んだカーボンシートを、ウッド芯材の上部に配した構造。フレックスとトーションのバランスに優れ、ラッピングよりもマイルドな乗り心地を味わえる。ダイアゴカーボンは「DTX」に、「DTI」はダイアゴファイバーを採用

シェイプドTI

部分的にシェイプしながら、必要なところに必要な幅のチタニウムシートを配置。シリーズごと、モデルごとにシェイプを変更し、モデルに合ったフレックスとトーションのバランスをとり、しなやかさを保ちつつパワー伝導の効率化が図られた

ラディカルトリプルラディウス

トップ部とテール部にショート系、センター部にロング系と異なるラディウスを設定。R値を見直すことで全体がスムーズにつながり、ターン導入性、多様なターンへの対応力、カービングのフィーリングがさらに向上した

70mmセンター幅

モデルごとに異なっていたセンター幅を70mmに統一。トップとテールの幅を変え、グリップ力や操作性、回りやすさなどそれぞれのモデルのカラーを打ち出している。ユーザーのレベルや志向とのマッチングがスムーズに行なえるようになった

写真:渡辺智宏 /文:眞木 健