大会スポンサーになっていたski-dooは、現場に最新スノーモービルを持ち込み、ファイナルレースでの選手輸送に活用。参加選手のエキサイティングな戦いに、盛り上がりをプラスした
技術選を愛するすべてのスキーヤーのために、アトミックデモチームがアイデアと総力を結集!今までになかった新たなスタイルの大会が実現した。素晴らしいバーン状況に恵まれ、日頃鍛えたテクニックを思う存分発揮した選手たちの白熱の戦いをレポートする。
①ジュニアクラス(中学生以上、高校生以下のスキーヤー)②チャレンジクラス男女(パラレルで滑れるスキーヤーからSAJ1級程度まで)③オープンクラス男女別(SAJテクニカル程度以上)
*ただし全日本スキー技術選手権大会決勝出場経験者は参加できない
予選:大回り(3審判3採用)、スペース規制中回り(3審判3採用)ファイナルマッチ:デュアル小回り(毎レース7審判で勝者決定)
ここ数年、全国的に盛り上がりを見せているアマチュア技術選。検定とは違った形で自分の技術を試すことができるとあって、世代を問わず多くのスキーヤーがチャレンジしている。そんな技術向上に燃えるスキーヤーに向け、今までにない大会を提供したいという思いで立ち上がったのがアトミックデモチーム。キャプテンの石水克友が中心となり、さまざまなアイデアを出し合って実現したのが今回のイベントだ。
従来のアマチュア技術選と異なる点はいくつもあるが大きなポイントは、
●ユーチューブでのリアルタイム配信
●選手は、滑走直後にデモからアドバイスを受けられる
●上位選手によるファイナルはデュアルレース
の3つだ。また、オープンクラスにエントリーする自信はないけれど参加したいという選手のために「チャレンジクラス(SAJ1級まで)」が設定されていたのも特徴だった。もちろんゲストスキーヤーも豪華そのもの。キャプテン石水克友を筆頭に、技術選チャンプの武田竜、石水愛、須川尚樹、片岡嵩弥、安達郁朗といったアトミックデモチームの精鋭が勢ぞろいし、前走やジャッジ、アドバイザーなどを務めた。
アトミックデモチームキャプテンの石水克友。「参加したすべての人が楽しめる大会に。そして自分たちの存在感を生かして、より盛り上がるイベントにしたい!」という彼の思いが多くのアイデアにつながった
大会当日は、やや風が強かったものの朝から青空が広がり、終日雪質が緩まないという、八千穂高原らしいエクセレントなコンディション。これにはジャッジを務めた武田竜も「今シーズン滑った中で、トップクラスに良いバーンです!」とコメントしたほどで、多くの選手がベストパフォーマンスを発揮できた素晴らしい大会となった。
予選2種目で上位(チャレンジクラス男子とオープンクラス男子は8名、その他のクラスは4名)となった選手たちが決勝として臨むファイナルマッチは「デュアル小回り」。2人が同時スタートでパフォーマンスを競い勝敗を決する種目で、まさに一騎打ちの様相。その白熱ぶりは、見ているほうも手に汗を握るほどだった。アトミック技術選は、新たな形のアマチュア技術選として、大きな可能性を示した大会だったと言えるだろう。
当日の模様はYouTubeで配信された。まるで会場にいるかのような臨場感で、ジャッジの解説を聞きながら参加選手の滑りを見ることが可能!
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リアルタイム配信ということは、YouTubeにアクセスさえできれば、実況放送を見ることができたということ。これからは、スマートフォンで配信を見ながら観戦するというスタイルが定着するかも
ゴールサイドにはアドバイスゾーンが設けられ、滑走を終えた選手は、ここでデモからのワンポイントアドバイスを受けらるようになっていた。滑ってすぐに評価を聞けるので、効果も抜群と大好評!
ゴールした選手一人ひとりにワンポイントアドバイスするアトミックデモチームのメンバーたち。憧れのトップスキーヤーから直接アドバイスを受け、その場でイメージを高めることが可能になっていた
ファイナルマッチは、デュアルレースの勝ち抜きトーナメント方式。同時スタートで7審ジャッジ&オーディエンスで勝敗が決まるスタイルを採用。滑り終わったその瞬間に勝負が決まるため、会場内のボルテージも最高潮となっていた
熱い戦いを終えれば、選手同士もノーサイド。お互いのパフォーマンスをたたえ合うシーンが多く見られた
勝ち抜いた選手は、すぐさま次の滑走に備えなくてはならないため、スノーモービルでスタートへ移動。この粋な演出が雰囲気を盛り上げた!
「めちゃめちゃ楽しい大会でした! バーンも良くて滑りやすかったし、スタッフの方々の盛り上げ方がうまかったです(笑)。今は高校1年生で主に競技をやっていますが、技術選は大好きなので、将来的にはこっちも頑張りたいです」
「アマチュア技術選には初めて出場したのですが、優勝できて最高にうれいです! 印象に残っている種目は最後のデュアルレースで、普段は経験できないようなことなので緊張しましたが、気分も上がって楽しめました」
「今シーズンは県予選で全日本まであと2点と悔しい思いをしたので、今回の優勝は本当にうれしいです。印象に残っているのは予選の大回り。気持ち良くスキーが返ってきて、満足のいく滑りができました」
*3位以下は予選2種目の順位を最終順位とする。また各カテゴリーの勝ち抜き状況を表す線の数字は、7審の評価数を示す
「とても大きい大会で、ライブ配信とかもあってすごく面白かった。参加してる選手のレベルも高かったので、その中で優勝できてうれしいです。今は14歳ですが、今後はもっと迫力のある滑りを目指したいと思います」
「最近、自分の滑りが好調なので実力を確かめたいと思い参加しました。ファイナルのデュアルレースはとても刺激的でエキサイトしました。この優勝を糧に、またこういったチャレンジをしたいと思います」
「現役のトップデモの方々にジャッジしてもらえるだけでなく、ゴール後すぐにアドバイスをもらえるなど、他の大会にはないような趣向が凝らされていて楽しめました。次回もぜひ参加したいと思います!」
ゴールしたその場で勝負が決まるのがデュアルレースの醍醐味。勝った選手は手を高々と上げ、負けた選手は天を仰ぐ……。すべての選手が「本気」で戦っているからこそのシーンだ
勝ったのはブルーコースか? レッドコースか? 滑るほうも真剣ならジャッジも真剣だ!
技術選チャンプ武田竜をはじめ、多くのナショナルデモンストレーターを擁するアトミックデモチーム。彼らによる迫力満点の前走も会場を大いに湧かせた
各カテゴリー優勝選手が思わず顔をほころばせた副賞、それはアトミックの来期モデルスキーのモニター貸与。これにはギャラリーもうらやましそうな表情を隠せなかった様子
「見ていてわかりやすい大会をと考えた結果、出てきたアイデアがデュアルレースでした。サイドバイサイドで滑るので相手のミスを誘発するようなシーンがあったり、いろいろな駆け引きをしてくる選手も見られました。単にうまいだけでなく、試合巧者というか、そういう選手が勝ち上がっていた印象がありましたね!」
「今回は新しいアイデアが随所にあったので、参加した選手だけでなく僕らも楽しめた大会となりました。選手の皆さんの高いスキルにも驚かされましたが、色々なスタイルの技術を見ることができたのでジャッジをしていて大変面白かったですし、最後のデュアルレースは、見ているこちらも大興奮の盛り上がりでしたね!」
「まだ自信がない人のためにチャレンジクラスを設けたのですが、上手な人ばかりでびっくりしました。また最後のデュアルは、ジャッジのこちらも心を鬼にしないと優劣を決められないほど、僅差の勝負が多かったです」
「とにかくレベルが高い大会だったという印象ですね。予選から素晴らしい滑りが多く見られましたが、ファイナルのデュアルレースでは、勝敗がはっきり出るぶん、結果的に攻めの滑りができた選手が多かったと思います」
「バーンも良く素晴らしい大会でした。上手な方が多く、ジャッジをするこちらも一瞬も気が抜けないほどでした。アマチュアの方々の技術から僕らも勉強できることがあるので、こういう機会はこれからも大切にしたいです」
「一言で言ってハイレベルな大会でした。しかもスピードや迫力なども申し分なく、見る人を引きつけるような魅力的な滑りに仕上げている選手が多かったです。僕らも負けていられないなと思わされてしまいました(笑)」
写真、文:近藤ヒロシ / ATOMIC技術選 日時:2022年2月23日 / 会場:長野県八千穂高原スキー場
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