スキー情報総合サイト スキーネット:SKINET

新生 S/RACE の真価を探れ!
サロモンスキー試乗会ルポ

S/RACEエスレースといえば、多くのエキスパースキーーを魅了してた、サロモンスキー看板機種。

その名機が、大胆リニューアされ聞けば、サロモンユーザならず気になるところだろう。

そこで今回は、SG編集部ユーザー試乗会入!

S/RACEどう進化したのか選び方のポイントを徹底検証!

2人のトップスキーヤーがエスコート

全日本技術選で活躍する2人のトップスキーヤーが、参加者をエスコート。技術的なワンポイントアドバイスも

試乗会が企画されたのは2月上旬、場所は長野県のアサマ2000パーク。主役はもちろん、来季、大幅リニューアルされる、新生S/RACEだ。

事前に募集をかけ、参加を少人数に絞り込んだのは、その進化したスキーの乗り味を、じっくりと確かめてもらうため。しかも今回は、佐藤栄一、石田俊介の2人のトップスキーヤーによるワンポイントレクチャーつき! そのスペシャルイベントを心待ちにしていた20人弱の参加者が、朝一のゲレンデに集合した。

S/RACEといえば、言わずと知れたサロモンの看板機種。トップレーサーから一般のエキスパートユーザーまで広く愛されてきたが、今回のリニューアルでは、そのメインテクノロジーが完全に生まれ変わっている。〝たわみの質〟を追求し、さらに推進するスキーへと進化したというが、果たして、その乗り味は?

今回のラインナップは

現行のS/RACEのキーテクノロジー「エッジアンプリファイア」は、一般エキスパート向けモデルの「S/MAX(エスマックス)」に引き継がれることに。試乗会では、来季のS/RACEとS/MAX、2つのシリーズが会場に並んだ

今回、用意されたのは、S/RACEの4つのモデル。よりレーシングスキーに近い「PRIME(プライム)」、それに準ずる強さを持つ「PRO(プロ)」、この中では標準的なモデルの「12」、そして、より軽量で扱いやすい「10」だ。

〝均質なたわみ〟を生み出す新システム「ブレードテクノロジー」が搭載されているのは、どのモデルも同じ。中の芯材やチタンの厚み、プレートの違いなどによって強さに変化を出しているという。当然、同じシリーズでも乗り味は全く違ってくるため、技術レベルやその人の体格、体力によっても合うスキーは異なる。それを実際の滑りを見たスキーヤーが直接アドバイスしてくれるのが、この試乗会の魅力だ。

この日は、前日の降雪であいにくのモサモサ雪。それでも「アドバイスをもらって乗り方を変えたら、たわみを感じることができました」との声も。試乗の感想と選び方のポイントは次頁にまとめているので、ぜひ参考に!

新生「S/RACE 」のキーテクノロジー

ブレードテクノロジー

プレートの前後2カ所にコの字型の切り込みを入れ、そこにポリマーパッドを装着。切り込みが入る分、たわみやすくなる一方で、ポリマーパッドがたわみ過ぎるのを抑制してくれる。この微妙な調整により“きれいなたわみ”を生み出すのがブレードテクノロジーだ

スキー試乗&ワンポイント アドバイス

まずは参加者それぞれが気になるスキーを試乗。スキーヤーがゲレンデ下で滑りをチェックし、ワンポイントアドバイスを行なうという形式だ。試乗スキーを変えながら繰り返しアドバイスをもらう参加者。その感触はいかに?

注目のニューモデルをいち早く試乗!
“きれいなたわみ”を体感

トップスキーヤーのポイントレクチャー

試乗会の後半は、2つのグループに分かれて、トップスキーヤーによるレッスンを実施。スキーの特徴であるたわみと走りを引き出すためには、どのような動きが必要なのか? 技術的なポイントをレクチャー

ーカー担当者に聞いた!

4つの S/RACE 何が違うの?

サイドカットは3機種共通
スキーの強さが違う

まずサイドカットは「PRO」「12」「10」は全く同じで、いずれもセンター幅は68mm。これに対して「PRIME」だけは、センター幅が66mmと細くなっています。プレートもレースタイプで、スキーの剛性も強い。つまり「PRIME」は、レース系に近い完全なコンペティションモデルになっているのです。

では、ほかの3つは何が違うのか。「10」と「12」は基本的に同じコンセプトのスキーですが、プレートと、あとはスキーの中身も少し変えることで、「10」のほうが軽くて軟らかい仕様になっています。単純に、パワーがそれほどなくて楽に滑りたいということであれば「10」を選ぶのがいいと思いますね。

これが「PRO」になると、スキーの剛性を出すチタニウムが厚くなるのと、レースタイプのプレートがついてくるので、スキーのハリの強さが全く変わってきます。ある程度のパワーがないとたわませられない分、踏めればしっかり跳ね返しがくるので、スキーがどんどん動いてきてくれる。技術レベルや筋力の違いで、合うものを選べるラインナップになっていますので、まずは違いを感じていただきたいですね!

編集Sのフィーリング

1級のボクのベストチョイスは?

ズバリ!10のGS175cm  軽量型GSモデルが熱い

PROのSL165cmを履きましたが、これはまぎれもなく、スキーがうまくなりたい人が乗る一台。しっかりしていて自分の技術を試されている感じがすごくしました。それに比べて12はもう少し軽い操作感で、オートマチックに返ってくる印象。もし僕がテクニカルを受けるなら12のSL165cm1台でいきますね。

でも検定を受けないのなら、実は一番乗りたいのが10のGS175cm。「175cm最強説」といって、今、こういった軽量型のGSモデルが実は熱いんです。どっしり手ごわいGSのレーシングスキーと違って、軽快なロングのスキーは、パワーがなくてもすごく楽しめる。大人のスキーはやっぱりコレかな? 

試乗終え

S/RACEのフィーリングいかがでしたか?

たわみがすごく感じられてしっとりくる印象来季はPRIMEに決定!

池田さん

スキースクールで主任講師を務め、技術選にも毎年挑戦しているという池田さん。マテリアルは30年間、ずっとサロモン一筋。「一度も浮気したことはありません!」という池田さんのお目当ては、PRIMEだ。「来季はかなり変わると聞いて試乗会に来ました。実際に乗ってみて、確かにたわみはすごく感じられましたね。しっとりくる感じで。12とPROも乗りましたが、どちらもいいスキーだと思います。とにかくサロモンは外れがない!自分はいつもどおりトップ機種でいきます!」

たわみがすごく感じられてしっとりくる印象来季はPRIMEに決定!

久永さん(右)長谷川さん(左)

同じスキークラブの部員で、ともにクラウン持ち。現行のS/RACE RUSH SLを使っているという久永さんが、来季は新調したいと仲間を誘って訪れた。「RUSHが良かったので、それに近いスキーを探しに来ました。50歳を過ぎて、自分の体力でもたわませられるスキーがいいと思っています。12は軽めで扱いやすい。PROはハリがある分、安定感がある。今日のようなグサグサの雪でも突破力があるのはPRO。ちょっと迷いますが、やっぱりPROかな!?」

一方、普段はヘッドを履いているという長谷川さん。サロモンの新しいS/RACEの印象は?「少しテールのほうを使うような乗り方をアドバイスしてもらって、スキーが戻ってきて最後に走っていくのがすごく感じられました。たわみ自体はGSのスキーのほうが感じやすいですね。一番良かったのはPROのSL。安心して踏めて、ちゃんと返ってきてくれる。いいフィーリングでした」

迷ったらこの人に聞け!

バランスの取れた「12」を基準に
走りを求めるなら「PRO」「PRIME」
操作性を求めるなら「10」

S/RACEに適した人は? どう選べばいい?

まず、走りやスピードをそこまで求めないという方、一台でオールラウンドにスキーを楽しみたいという方には、S/MAXがいいと思います。それほどパワーを使わなくても、快適に滑れますので。とはいえ、このS/MAXが対応しているのは、おおよそ1級レベルまで。それより上を目指す技術志向の方には、やっぱりS/RACEがいいと思います。

4つのモデルの中でも、基準になるのは12。扱いやすく、たわみもきれいに出るので、SL12ならロングもコブも1台でいけます。そこを基準に、操作性を重視するなら10を、切れや走りを求めるならPROかPRIMEがいいですね。

PROとPRIMEの違いはどこに?

この2つは、スキーの強度的にはかなり近いのですが、サイドカーブが違います。同じSLでも、PRIMEはセンター幅が狭く、センターからテールまでのアールがきつい。だからターン弧が鋭くなります。つまりPRIMEは、PROに比べると、よりショートターンに特化した設定になっている。ここが大きな違いですね。

カービングというとトップから食い込ませるイメージがありますが、今のスキーはそんなに前に圧をかけなくてもトップがかんでくれます。むしろ一番おいしいのは、センターから後ろのカーブ。きつければ鋭く切れ込むし、緩いと汎用性が出てくるので、そういうところも参考にしてみてください。

プライズを受けるなら何をチョイスする?

おすすめはPROかPRIMEですね。PRIMEは完全にアスリート志向です。速さや鋭さは出せますが、目的を絞り込んだスキーなので、SLとGSの2台必要になると思います。PROも同じような強さがありますが、もう少しターン弧の幅があるので、SL1台でも十分いけると思いますね。もちろん2台持つのもありです。

あともう一つ、今のスキーは下のモデルでも意外と戦闘力を持っています。10や12も結構、普通にスピードに乗れる。それこそサロモンの選手も、普段のレッスンではみんなSL12を使っています。強さはやや劣っても、操作性はいいので、コブを想定するならSL12という選択もありますね。

写真:眞嶋和隆、黒崎雅久 / 文:佐藤あゆ美 / 撮影協力:アサマ2000パーク