東北最大級のリゾートとして名高い安比高原が、リゾートとしての再興を目指して少しずつ、しかし着実に歩みを進めている。改革の軸となっているのは、今季のスキー場のキャッチコピーである「生きるを、感じる。」というコンセプト。冬だけでなく、ゆくゆくは1年を通じて人々が集える街へと生まれ変わろうとしているのだ。
この一大改革を先導するのは、アルペンスキー選手として数々の功績を残し、引退後は冬季産業の活性化に尽力している皆川賢太郎。「安比高原に対して抱いたのは、まだまだ手つかずで、すごくきれいな所だなという印象。大きな可能性を秘めたエリアだと思いましたし、この状態からリゾートづくりに携われることに魅力を感じました」――現役時代に数え切れないほどのレースに出場し、世界中のスノーリゾートを見てきた皆川の知識や経験を生かし、リフトパスを一新したり、コースレイアウトにアレンジを加えたり、写真家・蜷川実花氏とコラボしてゲレンデにアート作品を取り入れたりと、まずはスキー場を中心にリニューアルを施したかたちだ。
雪の中を滑ること、景色を眺めること、アートに触れること、大切な人と過ごすこと。こういった楽しみを存分に感じてもらえるようなリゾートを目指している。「スキー場の再生から街づくりまで。実現できたら本当にすごい、と自分でも思うことに、今まさに取り掛かったばかり」──そう話す皆川を中心に進み始めた安比高原の、2023シーズンのトピックスを見てみよう。